エコ・エアポート基本構想

 「成田空港問題円卓会議」の結論の一環として設置された「地球的課題の実験村」構想具体化検討委員会が1998年5月1日に発表した報告書「若い世代へ−農の世界から地球の未来を考える」では、現代社会が突き当たった地球環境問題や資源エネルギーの枯渇などの問題を解決するため、人間と自然環境の関わりを踏まえ、循環を基礎として自らを律していくという考え方(実験村の理念=「農的価値」)を大事にする必要があるとの認識が示されました。
 NAAは、この考え方を真摯に受け止めると同時に、空港が周辺地域の自然環境や農業にさまざまな影響を与えてきたことを思い、環境への負荷やエネルギー消費をできる限り小さくした循環型の空港づくりを目指すこととし、地球的視野に立った循環型の空港づくりと周辺地域の農業の再生への協力を2つの柱とする「エコ・エアポート基本構想」を98年5月27日に発表しました。
エコ・エアポート基本構想の構成

地球的視野に立った循環型の空港づくり

循環型の空港づくりでは、(1)水循環、(2)エネルギーと大気質、(3)自然環境、(4)廃棄物の視点に立って成田空港の建設・運用の在り方を見直すこととしています。

 NAAが、これまでに実施してきた施策およびこれから実施を検討する施策を、この4つの視点に即して紹介します。

水循環の視点

透水性舗装
透水性舗装

 成田空港では、これまでも周辺の環境に影響を与えることのないよう、下水排水処理の徹底や雨水排水の浄化を実施するとともに、水質の監視・測定に力を入れてきました。
 今後は、水資源の一層の有効利用を図るべく中水や雨水の利用システムの整備を行い、空港で必要な水の1割をこれらで賄います。また、雨水が地下に浸透しやすくなるよう、空港内の芝地部分に砕石浸透トレンチを設置します。

エネルギーと大気質の視点

太陽光発電パネル
太陽光発電パネル

 成田空港では、スポットイン後の航空機のAPU(補助動力装置)使用を制限するとともに、排ガスがでないGPU(地上動力装置)を利用できるよう、その整備を進めています。
 また、中央冷暖房所にガスタービン型コジェネレーションシステムを導入し、省エネルギー化を進めるとともに、低公害車の計画的導入や太陽光発電パネルの設置などクリーンな自然エネルギーの有効活用に取り組みます。

自然環境の視点

植生・植物相モニタリング調査
植生・植物相モニタリング調査

 NAAは、空港建設により失われた緑の回復を図るため、成田空港周辺緑化基本計画を策定し、芝山水辺の里の整備などを行なっています。
 今後も、周辺地域の方々と良く相談し、望ましい自然環境や植生の実現に取り組むとともに、緑と水の重要性を踏まえ、取香川へ通じる場外放水路の多自然型川づくりにも取り組みます。

廃棄物の視点

コンポスト機械を使って生ゴミから
コンポスト機械を使って生ゴミから
たい肥を作ります

 成田空港は、ゴミの分別収集やリサイクル活動に取り組み廃棄物の総量抑制に努めています。
 今後は、循環の視点の重要性を踏まえ、少しずつ空港と地域との物質循環を生み出すことを考え、空港周辺の農家や地域が 必要とする再利用可能な資源(刈り草、厨芥等からつくられる堆肥など)を提供します。
取組みの広がり
 地球的視野にたった循環型の空港づくりを実現していくためには、NAAのみならず航空会社などの空港関連事業者が相互に連携して取組むことが必要です。
 このため、1998年2月に設置された「エコ・エアポート推進懇談会」(空港関連事業者25団体により構成)を活用し、その取組みの充実を図ります。

空港周辺地域の農業再生への協力

透水性舗装
透水性舗装

NAAが所有している移転跡地の一部には人手が入らない場所もあります。今後は、より適切な移転跡地の管理をめざし、地域の意向に沿った跡地保全のあり方について、周辺農家の方々や自治体と話し合うとともに、地域農業の再生に役立てていきます。

 例えば、千葉県が進める多機能型農業公園における農業者育成プログラムの研修の場として活用します。さらには循環型農法の実践に取り組む農家や都市生活者等のための啓蒙・体験プログラムを提供する農家への貸付等を考えています。