ENTRY & LOGIN

Project Story 1

LCC専用第3旅客ターミナルビル開設

新たなターミナルの誕生が、
日本の空に、新時代の幕開けを告げる。

リーズナブルな航空サービスを実現し、空の旅を身近にしたLCC(ローコストキャリア)の台頭が航空業界に空前の活況をもたらしている。
とりわけ、訪日観光旅行者の増加による日本経済活性化への貢献が期待されており、政府も成長戦略の一環としてLCCの受入拡大を打ち出している。
拡大を続ける航空需要に応えるべく、NAAはLCC専用ターミナルビルの新設を決意した。

プロジェクト体制
プロジェクト体制の図

KEY PERSON

竹内 政樹の写真

旅客ターミナル部
LCC専用ターミナルビル
供用準備室

竹内 政樹

2009年度入社
理工学部システムデザイン
工学科卒

大平 篤の写真

保安警備部
航空保安対策グループ

大平 篤

2005年度入社
政治経済学部
経済学科卒

国保 潮の写真

エアライン営業部
エアライン営業グループ

国保 潮

2002年度入社
法経学部
経済学科卒

Phase 1前例のないプロジェクトの牽引役として“若き力”が抜擢される。

2010年5月、国土交通省は成長戦略の一つに「LCC支援」を掲げ、国内拠点空港に専用ターミナルビルの整備を求めた。その報道に触れたとき、竹内は新時代の到来を予感した。新ターミナルの建設は、その幕開けを告げる一大プロジェクトとなるだろう。胸の高鳴りを感じる竹内だが、当時入社2年目の自分が携わるとは、予想もしていなかった。

政府の要請を待つまでもなく、NAAはLCC専用ターミナルビルの検討を開始していた。本邦LCCが相次いで誕生し、“LCC元年”と呼ばれたのは2年後のこと。当時の認知度の低さを思えば時代を先取りした感があるが、2008年に海外LCCが日本初就航を果たした地が、ここ成田であったことを考えれば頷ける。実際の就航を通じて、やがてLCCが日本の“空の主役”の一翼を担う存在になると確信できたからこそ、約20年ぶりのターミナル新設という大きな決断を下せたのだ。

その具体化に向けて、2010年夏、空港経営の計画立案を担う「経営計画部」内にプロジェクトチームが発足した。そのメンバーに、同部に配属間もない竹内が選ばれたのは、大学で学んだ工学知識や、入社1年目に施設保全部で発揮した調整力の高さが認められたことに加えて、“LCC専用”という社内に、そして国内にも前例のない施設を実現していくために、若い力を必要としたからにほかならなかった。

Phase 2さまざまな関係者との調整のもと、コストとサービスの最適解を導き出す。

旅客ターミナルビルは空港の要だけに、検討すべき課題は多岐にわたる。竹内らは、航空会社や旅行者の利便性、建設および運用コスト、地域環境への影響、交通アクセス、警備体制など、幅広い側面について、社内外多くの関係者と対話を重ね、実現すべき理想のターミナルの姿を描いていった。並行して第2旅客ターミナルビル脇に暫定施設を整備し、実際の就航を通じてLCC向け施設に求められる機能の把握に努めた。

そして、プロジェクトは計画段階から実行段階へと移っていく。2013年夏には「供用準備室」が新設され、竹内は引き続きその中核メンバーとして、全体の進捗管理とともに、関係各部署やLCC各社との調整役を務めた。なかでも難航したのが「コストとサービスの最適なバランスをどう導くか」であった。LCCの強みは言うまでもなく“低価格”にある。それを実現するためにコストを低減しながら、安全・確実・迅速といったサービスレベルを低下させない――“二律背反”とも言える難題に、竹内は真摯に、そして粘り強く挑み続けることで、お客様の満足を最大化するための“最適解”を導いていった。

Phase 3プロフェッショナルとの連携が、さまざまな“気づき”をもたらす。

コストとサービスの“最適解”をどう導くか。竹内がそのヒントを得たきっかけの一つが「保安警備部」から参加した大平との出会いだ。セキュリティ確保は空港にとって最重要テーマの一つ。だが、実際に手荷物検査を担う航空会社にとっては、それ自体が利益を生まないため、効率化すべき業務でもある。LCC各社の求める効率的な検査プロセスをいかにして実現するか──大平の提案は、竹内を驚かせるものだった。高額な最先端X線検査装置の導入という、コスト削減とは真逆の発想だったからだ。しかし、その背景には確かな計算があった。導入時のコストは高くとも、検査精度の向上によって再検査の手間を省けるため、長い目で見ればコスト低減につながる。前例や一般論に捉われない大平の発想から、竹内は、創意工夫こそが困難な課題を乗り越えるカギだということを学んだ。

大平の仕事ぶりからは、ほかにも多くのことを学んだ。例えば、環境やニーズの変化に対する柔軟性だ。海外LCC各社は当初、東南アジアなどで確立したサービスをそのまま持ち込めば良いと考えていたが、日本の旅行者が求めるサービスレベルとは隔たりがあり、軌道修正を余儀なくされていた。LCCの業務体制の変更により、急遽、警備体制にも見直しが求められた。想定外の事態にも慌てることなく、タイムリーな体制変更を実現する大平の姿に、竹内は入社当時に学んだ「空港業務は常に変化し続ける」という言葉を、改めて実感していた。

延べ床面積は約66,000m2、東京ドーム約1.4個分の空間内に「気軽に」「機能的」「わくわく」というコンセプトを実現

Phase 4完成が終わりではない。ゴールの先に、次なる挑戦を見据えて。

プロジェクトが最終局面を迎えたときには、すでにその先を見据えた取り組みも始まっていた。その一つが、「エアライン営業部」の国保が担う、新たな就航エアラインを誘致するための営業活動だ。年間750万人の旅客取扱能力とともに、LCC専用ならではの低価格や使い勝手を実現した第3旅客ターミナルは、世界中の航空会社から“選ばれる空港”となるための強力な武器になる。「その魅力を、広く世界の航空会社に訴えることこそ、自分に課せられた役割だ」。強い使命感と大きなやりがいを胸に、国保は精力的に各地を飛び回った。

航空各社との具体的な交渉にあたっては、プロジェクトを代表して竹内も同席する。多岐にわたる詳細な質問にも淀むことなく応じる国保。その背景には、リテールを皮切りに空港運用、地域共生、海外の空港管理会社への出向など幅広い組織で培った経験と、相手が何を求めているかを素早く、的確に察知するコミュニケーション能力がある。それらを活かして確かな信頼関係を構築する国保の姿に、竹内は「これが空港のプロフェッショナルの実力か」と、大きな刺激を受けた。

2015年4月、第3旅客ターミナルビルは完成の時を迎え、5年にわたるプロジェクトは幕を下ろした。竹内、大平、国保、そしてプロジェクトで関わったメンバー一人ひとりの努力の結晶とも言えるこの施設から、誰もがより手軽に利用できる“新時代の航空サービス”を提供するために、彼らの、そしてNAAの挑戦は今も続いている。

第3旅客ターミナルビルは、2015年度「グッドデザイン賞」において、「グッドデザイン・ベスト100」を受賞