事業者の取り組み紹介

日本航空株式会社

JALグループは、2010年5月「エコ・ファースト企業」としての認定を受けました。これまで、新型機材への更新、機体の軽量化やエンジン洗浄などの諸施策に加え、JALグループの長年の経験と実績を活かした先進的な運航方式の導入や、バイオ燃料実用化への協力をはじめ、環境負荷を軽減するために様々な取り組みを行っています。

NEW!

電気自動車の利用によるCO₂排出量の削減に積極的に取り組んでいます

JALグループの航空機整備を担っているJALエンジニアリングでは、環境保護の観点から2021年12月より、空港内の整備士の移動用車両として超小型電気自動車C+Pod(シーポッド)を導入しました。成田空港での配備台数は今後も増やしていく予定で、積極的に電気自動車への置き換えを進めていきます。

航空機への行き来が多い整備士の移動に電気自動車を用いることによって、2022年度は約10トンのCO₂排出量削減を見込んでいます。また、C+Podには衝突防止や踏み間違い時の自動ブレーキ等の先進安全技術が搭載されており、空港内移動の安全性がより向上するものと思われます。

今後も電気自動車への積極的な置き換えを進めることで、JALエンジニアリングはSDGsの目標の達成と持続可能な社会の実現に取り組みます。

超小型電気自動車C+Podでエプロン内を移動

APU※1 の使用規制と GPU※2 の利用促進

日本航空(JAL)では、環境保護および燃料削減の観点から、原則として出発時刻の約10分前まではGPUを使用し、そこからAPUに切り替えるようマニュアル化しています。
APU使用時間を10分間短縮すると、B777型機では約50リットル(小型自動車1台の満タン分)の燃料削減と、約126kgのCO2排出量削減となります。

さらに省エネルギーを図るため、お客様にもご協力いただき、駐機場に到着後なるべく早く窓の日よけを下ろしたり、ライトを消灯することで機内温度の上昇を効果的に抑制し、空調効率を上げることで、GPUの使用時間を短縮するように努めています。

また、運航を終えて成田でオーバーナイトステイをする航空機については、GPU稼働時間短縮のため、翌朝に電源を入れるタイミングを極力遅くするようにしています。その日の気温や天候などの状況によって異なりますが、運航に支障のないよう、出発のおよそ2時間前にGPU接続をしています。これは、東日本大震災後、節電要請を受けるなかで、現場から声が上がってスタートした取り組みです。これらは小さな工夫の積み重ねですが、大きな効果へとつながっています。

  • ※1 APU(補助動力装置)
    Auxiliary Power Unitの略。航空機のエンジンスタートや空調、電気系統の補助動力として利用される補助動力装置のこと。APUは通常、小型のガスタービンエンジンで、航空機の胴体後部に取り付けられている。

  • ※2 GPU(地上動力施設)
    Ground Power Unitの略。エプロンにおいて航空機内整備などを行う際に航空機に空調および電気を供給する施設。
GPUによる電力・空調の供給
JUST IN TIME FUELで燃料使用量の削減

通常、航空機への搭載燃料量は、飛行計画を作成する際にお客様、貨物の予約状況などから予想された航空機重量に基づき必要量を算出して決定しますが、飛行計画作成後の搭乗人数や貨物量の変更などにより、実際の重量に見合わない余分な燃料を積んでしまう場合があります。

そこで、JALでは、最適量の燃料を積むことで、燃費効率の向上を図る「JUST IN TIME FUEL」の取り組みを2011年夏より開始しました。
「JUST IN TIME FUEL」ではまず、出航の1時間45分前~1時間15分前くらいまでにおよその見込みの重量を計算し、それを乗員(パイロット)に提示します。その後、お客様のチェックインが完了してから再度正確な重量を計算し、機内に入った乗員と燃料搭載量を合意したうえで、搭載作業を行ないます。

現場では、従来よりも燃料搭載のタイミングが後ろ倒しになってしまうので作業負担はかかりますが、その負担に見合う燃費向上の効果が得られる路線を選択して取り組みを行なっています。

この取り組みにより2011年度は、年間で約60万ポンド(成田からボストンまでの飛行約5回分)の消費燃料が節約できました。

燃料搭載量を再計算し最終確認
燃料搭載量を再計算し最終確認