Project Story 2

『新しい成田空港』への挑戦『新しい成田空港』への挑戦

増加する航空需要への対応として検討が進められている『新しい成田空港』構想。滑走路の整備だけでなく、ワンターミナル構想をはじめとした空港全体の機能強化を目指す背景と取り組みの状況、プロジェクトの未来について、構想実現に向けた担当者の声とともにご紹介します。

到着ロビー付近で話す男性2人

WHYなぜ『新しい成田空港構想』が生まれたのか

今後増加が見込まれる航空需要に対応し、日本及び首都圏の国際競争力強化に貢献していくという使命を果たすためには、新滑走路の整備といった”更なる機能強化”の取り組みのみならず、旅客ターミナル、貨物施設等の空港施設全体の大幅な能力向上が急務です。また、長年の懸案である鉄道アクセスの改善にも取り組んでいく必要があります。さらに、成田空港の運用は地域からの雇用に支えられていることから、空港と地域の一体的・持続的発展が必要不可欠です。こうした様々な課題に対応し、成田空港の将来像を検討すべく、『新しい成田空港』構想を立ち上げました。

新旅客ターミナルと新貨物地区の配置イメージ

図:新旅客ターミナル(駐車場等の関連施設含む)や新貨物地区の配置イメージ
  • ※今後の検討により変更が生じる場合があります。
  • ※イメージCGは現状の航空写真に「更なる機能強化」の計画内容を合成したものをベースにして、新旅客ターミナルと新貨物地区等の配置イメージを示したものです。
  • ※既存施設(貨物施設、整備関連施設等)については、現状のまま示しております。
  • ※配置計画については今後の検討により変更が生じる場合があります。またCG内表現の一部について簡略化しております。

HOWどういった検討や取り組みがなされているのか

「旅客ターミナル」「貨物施設」「空港アクセス」「地域共生・まちづくり」の4つのテーマを軸に、関係者と連携しながら検討を進めています。2022年10月に学識経験者、国、県、地元市町で構成する『新しい成田空港』構想検討会を設置し、様々な関係者から幅広い意見をいただきながら検討を深度化させ、2024年7月にはとりまとめを行いました。本プロジェクトは、多くのステークホルダーが密接に関わるため、空港計画部や貨物営業部、経営計画部、地域共生部等が中心となり、社内の各部署が横断的に取り組んでいます。

図:プロジェクトの関係図
会議室で打ち合わせをする男性3人

WHATなにを目指していくのか

旅客ターミナルについては、既存ターミナルを再構築し、集約型のワンターミナルを目指します。ターミナルを一つにすることで、旅客にとってシンプルで分かりやすくなるとともに、コンパクトに集約することで効率的なターミナル運用が可能となります。今後は、旅客利便性やコストなどに優れた「ロングピア型」のターミナル形状をベースとした検討を幅広く行うとともに、航空機の効率的なオペレーションを可能とする誘導路・駐機場の施設検討を進めていきます。
貨物施設については、最高水準の物流効率性を追求する新貨物地区を整備し、東アジアの貨物ハブを目指します。今後は、最先端技術による自動化・機械化に向けた取り組みや、新貨物地区と空港隣接地との一体的運用など、関係者と実務的な調整を進めながら、基本計画の実現に向けた検討を更に深度化していきます。
空港アクセスについては、交通事業者や関係自治体、国を含むステークホルダーとの連携を深め、旅客ターミナルの再編に伴う新駅の整備など空港全体としての最適なアクセスが実現されることを目指します。今後は、旅客の利便性向上のため、構内道路の再編や鉄道アクセスの検討を行います。
地域共生・まちづくりについては、地域と成田空港が未来のために相互に連携を図りながら、地域と一体的・持続的に発展していくエアポートシティの実現を目指します。今後は、エアポートシティ実現に向けた推進体制やゾーニング、人材確保のための環境整備等を軸に、関係自治体と議論を深めていきます。

これまで、成田空港のあるべき姿とその実現に向けた方向性について、テーマごとに整理し、様々な視点から検討を重ねてきました。しかし、『新しい成田空港』構想は、まだ途中段階であり、さらに検討を深度化していくことが必要不可欠です。今後も常に変化する未来に対応しつつ、成田空港の目指すべき姿を実現するために、全社一丸となって取り組んでいきます。

『新しい成田空港』への挑戦は、これからも続きます。

『新しい成田空港』構想における段階的整備の一例

鉄道駅 本館機能(CIQ等)

START 滑走路増設等完了時
  • C滑走路などの整備により、滑走路の処理能力は大幅に向上
  • 東西誘導路を南側へ盛替え、T2南側エリアで新ターミナルの東側半分および新駅など整備着手
STEP01 新ターミナル供用開始
  • 新ターミナルの半分と新駅供用開始
  • 新ターミナルとT2・T3を暫定的なコンコースで接続して一部、一体的運用
  • 現在の成田空港駅(成田第1ターミナル)は閉鎖
  • T1に関する駐車場やエアサイド機能などの一部施設の運用は柔軟に対応可能
STEP02 本館機能を集約
  • 速やかに増築し、全ての本館機能を集約
  • T2・T3に関する駐車場やエアサイド機能などの一部施設の運用は柔軟に対応可能
STEP03 状況に応じて増築
  • 外部環境や経営状況に応じてT1跡地に本館やコンコースを増築

担当者の想いと決意担当者の想いと決意

浅田 拓人

経営企画部門 空港計画部 施設計画グループ 主任
都市・環境学コース卒

浅田 拓人2018年度入社

『新しい成田空港』構想の検討作業やステークホルダーとの調整業務を担当

『新しい成田空港』構想の検討作業やステークホルダーとの調整業務を担当

メンバー一丸となって「世界一の空港」を目指す
入社当初からターミナルの計画立案に関わりたいと考えていたので、本プロジェクトに携わることが決まった時は胸が躍りました。『新しい成田空港』構想は多くの関係者が関わるプロジェクトであるため、社内の各部署間で連携して取り組んでいく必要があります。構想の各テーマに対して、各部署のスタンスがあり、お互い譲れない部分もありますが、「成田空港を世界一の空港にしたい」という思いは同じです。これからも社内のみならず、関係者とも一丸となり協議を重ねながら、着実に推進していきます。

出山 裕樹

経営企画部門 空港計画部 空港計画グループ アシスタントマネージャー
交通システム工学科卒

出山 裕樹2010年度入社

『新しい成田空港』構想におけるマスタープランの検討業務を担当

『新しい成田空港』構想におけるマスタープランの検討業務を担当

空港全体を俯瞰して、より良い計画を追求する
『新しい成田空港』構想と言うと、新ターミナルの計画に目が行きがちですが、きれいなターミナルを作るだけでは良い空港計画とは言えません。良い計画を立案するためには、様々なインフラ施設を有する空港全体を”一つの都市”として俯瞰的にとらえ、設置する施設の規模や配置を検討することが必要だと考えています。今後も広い視野を持って、空港を利用するお客様はもちろん、空港で働く方々や地域の方々からも「世界一」と思っていただけるような空港を目指していきたいと考えています。

笠原 健太

経営計画部 戦略企画室
経済学部卒

笠原 健太2011年度入社

成田空港への鉄道アクセスの改善を担当

成田空港への鉄道アクセスの改善を担当

空港へのアクセスをストレスフリーにしたい
プロジェクトに携わることになった時は、「空港会社で鉄道の仕事?」という驚きが大きかったのですが、成田空港における「鉄道アクセス」の担う役割の重要性を考えると、多くのお客様の利便性が向上する、大変やりがいのある仕事だと感じました。現在は、成田空港へのアクセスがストレスフリーとなるよう検討を進めており、『新しい成田空港』が完成した際には、すべての関係者がメリットを享受できるように取り組んでいきたいと考えています。