地域経済への貢献
人と物との交流の場である空港は、直接あるいは間接に空港周辺地域経済に大きな影響を与えています。成田空港が周辺地域経済に及ぼす影響を見ると、成田空港の建設投資は、通常の公共投資をはるかに上回る空港関連投資が行われ、さらに民間投資を招き、これらの投資総額は巨額なものとなっています。この巨額の投資は、地元に雇用の場をつくり出すとともに所得の増加をもたらしています。
これらの空港関連公共投資による地域整備が進んだことにより、地域が活性化し、地域住民の利便の向上も図られてきました。例えば、東関東自動車道、湾岸道路、国道51号線および鉄道といった幹線交通網の整備によって、都心へのアクセス条件が大幅に改善されたこと、また、地元市町村の道路や河川、上下水道、教育施設、農業用施設などが整備されたことにより生活環境が改善されたこと、さらに工業団地が形成されたことにより企業の進出(民間投資)を促したことなどが挙げられます。
成田空港周辺には立地の優位性を最大限に活用した先端技術産業が集積しています。また、フォワーダーといわれる貨物取扱業者の貨物施設も建設されています。
成田財特法による公共施設の整備
高速道路の整備
成田空港周辺の整備については、1970年(昭和45年)3月28日に制定された『新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律(昭和45年法律第7号)』(以下「財特法」という)に基づく「空港周辺地域整備計画」により、道路、河川、生活環境施設、教育施設、消防施設並びに農地および農業用施設の整備が国・県・市町村および水資源開発公団(現水資源機構)等により実施されてきました。この法律による財政援助の期間は当初78年度までとなっていましたが、その後幾度か延長され、現在は2028年度までとなっています。
財特法による整備を具体的に見ると、東関東自動車道、湾岸道路、京葉道路、首都高速7号線、国道51号線などの幹線道路や周辺開発道路の整備、根木名川の改修、印旛沼流域下水道の区域拡張、成田用水事業などであり、これらの施設整備は、空港周辺地域住民の生活環境の改善、利便の向上などに大きく寄与しています。
周辺対策交付金
成田空港の円滑な運営を図るためNAAでは、航空機の騒音等により生ずる障害の防止および空港周辺整備の費用に充てるものとして、千葉県、茨城県および両県下10市町(成田市、富里市、芝山町、横芝光町、山武市、多古町、神崎町、香取市、稲敷市、河内町)に対し、成田国際空港周辺対策交付金を交付しています。
この交付金は防音工事を行った公共施設の維持費ならびに空港周辺道路、公園、消防施設、農業施設などの整備のための費用に充てられており、各空港周辺地方公共団体の施策に寄与しています。