土地利用
航空機騒音に配慮した計画的な土地利用
成田空港周辺では、都市化の進展等により騒音区域内において住宅等の無秩序な開発が進む懸念があり、放置すると航空機騒音問題の根本的な解決に大きな障害となることが予測されました。
このため、NAAは1978年に制定された「騒特法」に基づき、1979年9月千葉県知事に対し、騒音に配慮した土地利用の基本的方向を定めるための「航空機騒音対策基本方針」を策定するよう要請し、千葉県知事は1982年11月、成田空港周辺を緑豊かな国際空港都市とすることを目指した「基本方針」を定めました。
その後、千葉県はNAAから提示された概ね10年後の空港整備や運用状況等の予測を踏まえ、土地利用内容の必要な見直しを行い、空港機能の拡大に伴うその後の土地利用の変化、成田空港問題の平和的解決と地域と空港の共生への取り組みという新たな展開を受け、2000年6月、新たな「航空機騒音対策基本方針」を定め、2001年5月に都市計画決定を行いました。
また、暫定平行滑走路の北伸整備に伴い、千葉県において「基本方針」の変更を2007年2月に行い、これについて同年12月に都市計画変更が告示されました。さらに、成田空港における航空機の年間発着枠30万回までの拡大に伴い、2011年3月に「基本方針」の変更を千葉県において行い、同年11月に都市計画変更が告示されました。
農業振興による土地利用
地力増進効果の見込めるレンゲの播種
元来、空港周辺は農業の盛んな地域であるため、NAAとしても空港周辺地域の農業振興に積極的に協力することとしており、『新東京国際空港周辺地域における農業振興のための基本となる考え方について』(1978年〈昭和53年〉12月1日閣議報告)に沿って、所有している騒音対策用地のうち、農用地として利用可能なものは周辺農家への貸し付けを行っています。
そのほかの土地利用
NAA用地については、前述の活用のほか、『航空機騒音対策基本方針』の趣旨を踏まえ、空港南部工業団地への譲渡を行ったほか、航空科学博物館、多目的広場、消防施設や、千葉県が計画している成田国際物流複合基地構想などに対しても貸付けを実施または予定しており、今後も見直しされる同方針の趣旨に沿って地域振興や住民生活に役立つ施設の用地として積極的に利用を図っていくこととしています。
なお、千葉県は成田空港周辺約10kmの圏域を臨空工業地帯として位置づけ、空港機能を生かした高度な工業集積を図り、活力ある地域づくりを進めるため、臨空工業団地の整備を推進しています。
特に、臨空工業団地のひとつである芝山町岩山地区の空港南部工業団地では、フォワーダーによる物流基地としての整備が進められています。