環境対策等の実施

1 住宅防音工事

(1)住宅防音工事の助成

防音工事施工例(工事前)
防音工事施工例(工事前)
矢印
防音工事施工例(工事後)
防音工事施工例(工事後)

航空機騒音による障害の軽減を図るため、国土交通省告示により第1種区域として指定された区域内(3市4町)の住宅に対し、騒防法第8条の2の規定に基づき防音工事の助成を行ってきています。

成田空港周辺での住宅防音工事の助成は、全国に先駆けて1971年(昭和46年)から千葉県の協力を得て実施していましたが、74年の騒防法改正により、特定飛行場に係る住宅防音工事の実施が制度化(法第8条の2追加)され、成田空港を含め全国の特定飛行場でも実施されることとなりました。

しかし、成田空港周辺の住宅の多くは開放的な農村型住宅であるため、各室ごとの遮音方法は合理的、効果的ではなく、場合によっては生活様式の変更をもたらすこととなることから、78年6月、NAAは本来の各室ごとの防音工事とは別に全国に先駆け全室を防音工事する工法による方針を決定し、同年9月から受け付けを開始し、現在に至っています。


(2)老朽家屋の改築に対する防音工事の助成

成田空港の設置者であるNAAは、空港の設置に伴い生じる航空機による障害を防止し、軽減するための措置を講ずることにより、地域住民の生活環境の改善を図っていかなければならない責務があります。そのため、騒特法第4条の規定に基づく航空機騒音障害防止地区(防止地区)内での住宅で、防音工事済みの住宅を老朽化により改築する場合においても、防音工事に対する助成を行っています。
 この制度は、1995年10月から実施しており、原則として次の条件のすべてを満たす場合の住宅について対象となります。

  1. 防音工事済住宅が建築後一定の耐用年数(例:木造の場合は22年)が経過し、老朽化している場合
  2. 防音工事済住宅の防音工事完成検査の日から10年経過している場合
  3. 防音工事済住宅と同一敷地内で改築する場合

なお、騒特法防止地区以外の騒防法第1種区域内の地域における同様の改築に係る防音工事の助成については、関係自治体が実施しています。

(3)空調機器更新工事(1回目)

住宅の防音機能を保持するため、防音工事実施後10年を経過し、かつ、所要の機能が失われていると認められる空調機器については、その更新工事に対して助成を行っています。

空調機器更新工事の助成は、1989年度に制度化され、翌1990年度から助成が始まり、2012年9月末現在で6925台を実施しています。2012年4月制度改正より冷暖房機更新工事費の60%をNAAが助成しています。

(4)空調機器更新工事(2回目)

住宅の防音機能を保持するため、前記(3)のとおり更新工事(1回目)を行っていますが、更新工事(1回目)を行ったものの中で、さらに10年経過する空調機器について、2000年度から更新工事(2回目)を行えるようにし、2012年9月末現在で2680台を実施しています。2012年4月制度改正より冷暖房機更新工事費の55%をNAAが助成しています。

(5)空調機器更新工事(3回目)

住宅の防音機能を保持するため、前記(4)のとおり更新工事(2回目)を行っていますが、機能回復更新工事(2回目)を行ったものの中で、さらに10年経過する空調機器について、2012年度から更新工事(3回目)を行えるようにし、2012年9月末現在で8台を実施しています。助成額については、冷暖房機更新工事費の50%をNAAが助成しています。

2 学校、共同利用施設などの公共施設防音工事

(1)学校などの防音工事の助成

騒防法第5条の規定に基づき、学校、保育所、病院、特別養護老人ホームなどの施設の防音工事を行う市町村などに対し、その費用の全部または一部を助成しています。

(2)共同利用施設の助成

騒防法第6条の規定に基づき、学習、集会などの用に供するための施設や老人福祉センター、図書館などの施設の整備を行う市町村に対し、その費用の一部を助成しています。

(3)空調設備機能回復工事

(1)、(2)により助成を受け設置した空調設備について、有効な空気調和の確保を行うため、当該施設設置後15年以上経過したもののうち、老朽化により空気調和の機能が著しく低下したものについて、その機能回復工事に対する助成を行っています。

 

3 移転補償等

(1)騒防法に基づく移転補償等

騒防法第9条の規定に基づき、空港周辺で航空機騒音による障害が特に著しいと認められる区域(第2種区域)内については、当該区域の指定の際、現に所在する建物などを区域外に移転する場合に、建物の補償および建物の所在する土地などの買取りを実施しています。

この移転補償は、1969年(昭和44年)から開始し、76年までは「特定飛行場周辺の指定区域および除外区域に関する告示」(2km×600m)の区域内について、また、第1種、第2種、第3種区域が指定された76年1月以降は、現在の第2種区域内について実施し、対象戸数全503戸が実施済となりました。

(2)騒特法に基づく移転補償等

騒特法の規定に基づき、航空機騒音障害防止特別地区内における住宅の移転補償等を実施しています。
 騒特法に基づく航空機騒音障害防止特別地区等を定める都市計画が2001年5月11日に決定されましたが、決定以前は同法都市計画の策定手続きが諸般の事情により中断されたため、同地区内の移転補償等の対策ができない状況でした。これに対し、成田市議会が移転を希望する住民の救済措置を求める議決を行ったほか、芝山町議会においても同様の議決が行われる等、同地区内の移転対策の早期実施の地元要望が強まったため、都市計画決定に先行して、航空機騒音障害防止特別地区として予定される区域内について対策を講じることとし、1990年度から移転補償を行ってきました。

特に、従来の個々の住宅に対する移転補償方式は、集落分断またはコミュニティの崩壊を招くこととなるため、集落で同一地区に移転できるよう取り組んでおり、現在までに芝山町菱田中郷地区10戸(1993年10月)、成田市芦田地区8戸(1995年8月)、芝山町大里加茂地区11戸(1996年4月)、芝山町大里住母家地区9戸(1998年12月)、芝山町菱田地区13戸(1999年10月)、芝山町芝山地区11戸(2002年9月)および成田市芦田地区18戸(2003年4月)の集団移転対策を実施しています。
 また、成田空港の機能拡大に伴う周辺地域の土地利用の変化や今後の運用等の予測を踏まえ、騒特法第3条の規定により1982年11月に定められた航空機騒音対策基本方針が見直されたことに伴い(2000年6月20日付公表)、防止特別地区内の移転対象戸数は460戸となり、その後、平行滑走路の北延伸に伴う都市計画の変更(2007年12月28日)により、防止特別地区が拡大され、移転対象戸数は549戸となりました。さらに、成田空港の年間発着枠30万回への容量拡大に伴う都市計画の変更(2011年11月11日)により、防止特別地区の範囲が拡大され、移転対象戸数は591戸となりました。

※ 騒防法および騒特法に伴う居住用財産や事業用財産の譲渡に対しては、特別控除等、税の優遇措置が適用されます。

4 電波障害対策

成田空港に離着陸する航空機によるテレビ受信障害対策として、1978年から空港周辺18市町村の世帯に対して、フラッター防止アンテナを設置する対策を実施してきましたが、年々の航空機の大型化や増便等により障害の範囲が拡大する一方、周辺市町村からより効果的な対策を求める要望等が出てきていました。このため、抜本的改善策としてテレビ中継放送局を設置し、フラッター障害の起こらないUHF電波による送受信対策を実施することとなり、1993年11月に成田局、1995年1月に佐原局、同年2月には江戸崎局、さらに同年3月に下総光局をそれぞれ開局しました。

各中継局の開局に合わせ、従来フラッター防止アンテナにより受信していた世帯等対策エリア内の世帯に対しUHFアンテナへ切り替える工事を、当該エリア内で山陰等により個別アンテナで受信できない地域に対しては、共同受信施設の設備工事を進め、2005年3月までにすべての工事を完了しました。

2011年7月の地上デジタル放送移行に関して、地上デジタル放送の電波は航空機に起因する障害は基本的には生じないことから、テレビ中継放送局および共同受信施設の廃止を決定しましたが、地上デジタル放送完全移行後のテレビ中継放送局を有効利用するため、佐原中継放送局および下総光中継放送局を放送事業者へ譲渡しました。
 また、共同受信施設については、住民への周知および説明会を開催する等して、国・放送事業者・自治体等の関係者と連携を図りながら、住民組合に共同受信施設を譲渡し、地上デジタル放送完全移行と同時に、NAAの電波障害対策は基本的に終了しました。

テレビ中継放送局設置内容
区分 成田局 佐原局 江戸崎局 下総光局
設置場所 成田市大袋 香取市玉造 稲敷市羽賀 横芝光町篠本
送信鉄塔 高さ 162m 218m 64m 114m
形式 自立式四角鉄塔 自立式四角鉄塔 自立式四角鉄塔 自立式四角鉄塔
開局日 1993年11月18日 1995年1月20日 1995年2月28日 1995年3月16日

5 落下物対策

成田空港周辺地域では、成田空港に離着陸する航空機から氷塊あるいは航空機部品などが落下する事案が発生していることから、1983年(昭和58年)3月にその被害救済のため、運輸省(現国土交通省、以下同じ)、NAA、航空会社および保険会社のそれぞれの代表による航空機落下物確認委員会を設置し、被害者救済を行っています。

落下物の発生を未然に防止するため、運輸省航空局では91年1月から航空会社に対して機体の整備・点検および空港南側から進入着陸する航空機の洋上脚下げの実施などを厳しく指導しており、93年5月には洋上脚下げについてAIP(Aeronautical Information Publication=航空路誌)に記載し、96年5月からはATIS(Automatic Terminal Information Service =飛行場情報放送業務)によって同方式の遵守の徹底を図っています。また、97年度から成田空港に到着する航空機を対象に氷塊付着状況調査を実施しています。さらに、運輸省では99年5月に、特に航空機の水まわりについて漏水が起きないよう部品の交換や定期的な点検を行うよう航空会社に対し、耐空性改善通報を発出しました。
 その結果、91年度以降の落下物発生件数は著しく減少していますが、今後とも引き続き関係者間の連携を密にして、落下物の発生防止に努めていくこととしています。

6 航空機エンジン試運転時の騒音対策

ノイズリダクションハンガー
ノイズリダクションハンガー

成田空港では、航空機のエンジン試運転時の騒音や低周波音が隣接地区に与える影響を低減させるための施設が設置されています。
 2001年4月から本格運用した格納庫型の「ノイズリダクションハンガー」では、施設内部は吸音性と遮音性を兼ね備えた材料が用いられており、消音性能は非常に高く、風向き等の制限を受けずにいつでも使用できます。

 

7 騒音対策委員会

騒音対策委員会は、1966年(昭和41年)7月に閣議決定された『新東京国際空港位置決定に伴う施策』に基づき、71年12月に設立され、72年4月に第1回が開催されました。
 この委員会は、航空機騒音により生ずる障害の防止または軽減のための措置を協議することを目的として、空港周辺の首長、議長、学識経験者、住民の代表、国土交通省、千葉県、航空会社、NAAにより構成されています。
 また、この委員会の下部組織として、空港周辺地域を7つのブロックに分けた「地区部会」が設置されています。
 95年6月には、委員会における十分な協議時間の確保および地区部会の運営の充実を目的に運営方法の一部を改正し、委員会および地区部会において、騒音対策などの各種対策について十分な協議を重ね、騒音対策の充実と空港の安全かつ適切な運営を図ってきています。