Project Story 1

“日本”を味わえる上質な飲食専用フロア「JAPAN FOOD HALL」をオープン“日本”を味わえる上質な飲食専用フロア「JAPAN FOOD HALL」をオープン

2023年9月、第2ターミナル出国手続き後エリアにオープンした「JAPAN FOOD HALL」。ターミナルを増築し作り上げた一大プロジェクトの計画のねらい、実現に向けた活動を担当者の想いとともにご紹介します。

一面ガラスのホール窓際写真

WHYなぜJAPAN FOOD HALLをオープンする必要があったのか

従来から飲食店舗が少ないという課題を抱えていた第2ターミナル出国手続き後エリアですが、同エリアには、複数の飲食店舗を展開できるだけのスペースはありませんでした。そこで、ターミナルを増築して、2階に飲食専用フロアを整備するプロジェクトが発足しました。
プロジェクト発足当時、訪日外国人の増加に伴い、成田空港をご利用されるお客様の半数以上を海外からのお客様が占めており、将来的にもその傾向は続くと予測されていました。そのため、出店店舗については、観光庁が実施している「訪日外国人の消費動向調査」において、外国人旅行者が日本滞在中にやりたいこととして「日本食を食べること」がランキング1位であったこと、日本人旅行者も搭乗前最後の食事として「日本食」を好まれることから、日本食を取り扱う店舗を集めた飲食エリアを展開することとしました。

訪日前に最も期待していたこと(全国籍・地域、単一回答)

図:訪日前に期待していたことアンケートのグラフ
訪日外国人消費動向調査「2022年年間値の推計」より

HOWオープンに向けてどのように取り組んだのか

ターミナル増築工事は、2019年11月に着工したものの、その後コロナ禍に突入し旅客数が激減してしまいました。「JAPAN FOOD HALL」は、当初2021年12月にオープンする予定でしたが、計画を後ろ倒しせざるを得ませんでした。計画変更により想定外の様々な課題が生じましたが、メンバーの創意工夫によって乗り越えていきました。例えば、工事が完了するも供用ができないことにより、お客様の目に触れてしまうことになった工事用仮囲いについては、仮囲いの範囲が広いことを逆手にとり、葛飾北斎の作品に現代デザインを融合させたアート装飾を施し、迫力のある空間を創出、外国人のお客様を中心に大変喜ばれました。
出店テナントのリーシング(誘致)活動においては、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた成田空港への出店に不安を感じるテナント企業様に対し、「JAPAN FOOD HALL」のコンセプトや誘客を図るために施した様々な創意工夫、マーケットのポテンシャル等を熱い想いを持って伝えました。
出店決定後は無事に供用させるべく、テナント企業様のサポート業務に取り組みました。出店場所の出国手続き後エリアは、空港の中でもセキュリティレベルが高いことから、出店に伴う工事やスタッフの入退場に及ぶまでルールが厳格に定められており必要な申請手続きも複雑です。そのため、テナント企業様と頻繁にコミュニケーションを図り、各種手続きのご案内やスケジュール調整を行いました。工事会社が現場に入れないなどのトラブルが発生することも多々ありましたが、その際はすぐに現場に駆けつけて状況を把握する等、関係先との対面でのコミュニケーションを心がけることで、何とか解決し、オープンを迎えることができました。

図:プロジェクトの関係図

WHAT何を実現したのか

新たな飲食エリアは、免税ブランドモールである「ナリタ5番街」に隣接するエリアであること、高品質な日本食の専門店を集積した専用フロアであること等を勘案して、カジュアルなイメージの強い「フードコート」ではなく、名称を「JAPAN FOOD HALL」としました。
ジャパニーズモダンをデザインコンセプトとした「JAPAN FOOD HALL」には、日本を味わえる飲食店10店舗を集積し、客席は各店舗の店内席に加えて共用席を設置。店内席ではライブ感を味わいながらのお食事、共用席では各店舗の料理を持ち寄ってのお食事等、ニーズにあわせた利用を可能としました。駐機する航空機を眺められる大パノラマを楽しめるよう共用席を計画するとともに、出国手続き後エリアでは国内空港初となるテラス席も設けました。
このような取り組みの甲斐もあって、2023年9月のオープン後、「JAPAN FOOD HALL」は、お客様から大変ご好評をいただいています。また、オープン後に実施された、SKYTRAX社が実施する空港格付評価”WORLD AIRPORT RATING”において、成田空港として初めて世界最高水準である「5スターエアポート」の格付けを獲得しました。

ジャパニーズモダンな雰囲気が随所に取り入れられたフードホール内
ジャパニーズモダンな雰囲気が随所に取り入れられたフードホール内
駐機する航空機を一望できる共用席
駐機する航空機を一望できる共用席
国内空港初となる出国手続き後エリアのテラス席
国内空港初となる出国手続き後エリアのテラス席

“日本”を味わえる上質な飲食専用フロア「JAPAN FOOD HALL」をオープン“日本”を味わえる上質な飲食専用フロア「JAPAN FOOD HALL」をオープン

上原 佑介

営業部門 リテール営業部 第二営業グループ アシスタントマネージャー
国際日本学部 国際日本学科

上原 佑介2012年度入社

テナントリーシング(誘致)、テナントとの契約手続き、テナント工事に係る調整、その他出店に係る各種手続き、オープン後の店舗運営管理を担当

初めての大規模プロジェクトで、多くの学びを得た
プロジェクトを担当することが決定した時には、供用に向けて自分の役割を全うしようと身の引き締まる思いでした。今回のような大規模プロジェクトに携わるのは初めてのことで、学ぶことが多々ありました。特に、上司や先輩が、プロジェクトの成功のために熱い想いを持って、何事にも妥協せずに取り組んでいる姿を間近で見て、プロジェクトの担当者が熱意や想いを持っていないと、社内外含め多くの関係者の協力を得ながら物事を進めていくことはできないことを強く実感しました。また、「5スターエアポート」の格付け獲得については、私たちの頑張りが評価されたように感じられて嬉しい気持ちになりました。今後も「JAPAN FOOD HALL」をご利用いただくことが、世界中のお客様の“旅の楽しみの一つ”となるよう尽力していきます。

高山栞里

空港運用部門 施設保全部 建築グループ
家政学部 住居学科 建築デザイン専攻

高山 栞里2019年度入社

「JAPAN FOOD HALL」を含む「ナリタ5番街増築部」増築工事の発注・設計監理・工事監理、テナント工事図面の審査、オープンに向けた各種準備工事の発注・設計監理・工事監理を担当

日本の印象をより強く心に刻んでもらいたい
私は工事の後半からプロジェクトに参加したので、空間コンセプトを大切に設計・工事してきた先輩方の思いをしっかりと受け継がなければと考えていました。そして、チーム全体で「いいものを作ろう!」という熱意を共有してきたからこそ、いいものを作り上げることができ、私個人としても自分の知識や経験に自信を持てるきっかけとなるプロジェクトになったと感じています。今後、多くの方に「JAPAN FOOD HALL」というジャパニーズモダンな空間で日本食を食べていただいて、日本という国の印象をより強く心に刻んでもらえたらうれしいです。